河川法(改正平成9年6月4日)

 第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、河川について、洪水、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もって公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。
平成9年6月4日一部改正

(河川管理の原則)
第二条 河川は、公共用物であって、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行われなければならない。
2 河川の流水は、私権の目的となることができない。
(河川及び河川管理施設)

第三条 この法律において「河川」とは、一級河川及び二級河川をいい、これらの河川に係わる河川管理施設を含むものとする。
2 この法律において「河川管理施設」とは、ダム、堰、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯(堤防又はダム貯水池に沿って設置された建設省令で定める帯状の樹林で堤防又はダム貯水池の治水上又は利水上の機能を維持し、又は増進する効用を有する施設をいう。)その他河川の流水によって生じる公利を増進し、また公害を除却し、若しくは軽減する効用を有する施設をいう。ただし、河川管理施設者以外の者が設置した施設については、当該施設を河川管理施設とすることについて河川管理者が権原に基づき当該施設を管理する者の同意を得たものに限る。
平成9年6月4日一部改正

(一級河川)
第四条 この法律において「一級河川」とは、国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係わる河川(公共の水流及び水面をいう。以下同じ。)で建設大臣が指定した者をいう。
2〜6(略)

第二章 河川の管理
 第一節 通則
(一級河川の管理)
第九条 一級河川の管理は、建設大臣が行う。
2建設大臣は、その指定する区間(以下「指定区間」という。)内の一級河川については、当該一級河川の部分の存する都道府県を統轄する都道府県知事に、政令で定めるところにより、その管理の一部を行わせるものとする。
3〜4(略)

(二級河川の管理)
第十条 二級河川の管理は、当該河川の存する都道府県知事が行う。

(河川管理施設等の構造の基準)
第十三条 河川管理施設又は第二十六条第一項の許可を受けて設置される工作物は、水位、流量、地形、地質その他の河川の状況及び自重、水圧その他の予想される荷重を考慮した安全な構造のものでなければならない。
2 河川管理施設又は第二十六条第一項の許可を受けて設置される工作物のうち、ダム、堤防その他の主要なものの構造について河川管理上必要とされる技術基準は、政令で定める。

 第二節 河川工事等
河川整備基本方針
第十六条 河川管理者は、その管理する河川について、計画高水流量その他当該河川の河川工事の実施及び河川の維持(次条において「河川の整備」という)についての基本となるべき方針に関する事項(以下「河川整備基本方針」という。)を定めておかなければならない。
2  河川整備基本方針は、水害発生の状況、水資源利用の現況及び開発並びに河川環境の状況を考慮し、かつ、国土総合開発計画との調整を図って、政令で定めるところにより、水系ごとに、その水系に係る河川の総合的管理が確保できるように定められなければならない。
3 建設大臣は、河川整備基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、河川審議会の意見を聴かなければならない。
 都道府県知事は、河川整備基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、当該都道府県知事が統括する都道府県河川審議会が置かれているときは、あらかじめ、当該都道府県河川審議会の意見を聴かなければならない。
 河川管理者は、河川基本整備方針を定めたときには、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 前三項の規定は、河川整備基本方針の変更について準用する。
平成9年6月4日一部改正

 (河川整備計画
第十六条の二 河川管理者は、河川整備基本方針に沿って計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該河川の整備に関する計画(以下「河川整備計画」という。)を定めておかなければならない。
2 河川整備計画は河川整備基本方針に即し、政令で定めるところにより、当該河川の総合的な管理が確保できるように定められなければならない。この場合において、河川管理者は、降雨量、地形、地質その他の事情によりしばしば洪水による災害が発生している区域につき、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置を講じるように特に配慮しなければならない。
3 河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、河川に関し学識経験者を有する者の意見を聴かねばならない。
4 河川管理者は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるため必要な措置を講じなければならない。
5 河川管理者は、河川整備計画を定めようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、関係都道府県知事又は関係市町村の意見を聴かねばならない。
6 河川管理者は、河川整備計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
7 第三項から前項までの規定は、河川整備計画の変更について準用する。
平成9年6月4日追加

 (市町村長の施行する工事等)
第十六条の三 略

 第三節 河川の使用及び河川に関する規制
  第一款 通則
(工作物の新築等)
第二十六条 河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、又は除去しようと者は、建設省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。河川の河口付近の海面において河川の流水を貯留し、また停滞させるための工作物を新築し、改築し、又は除去しようとする者も、同様とする。
2〜3(略)

(許可工作物の使用制限)
第30条  第26条第1項の許可を受けてダムその他の政令で定める工作物を新築し、又は改築する者は、当該工事について河川管理者の完成検査を受け、これに合格した後でなければ、当該工作物を使用してはならない。
 2 前項の規定にかかわらず、特別の事情があるときは、同項に規定する者は、当該工作物の工事の完成前においても、河川管理者の承認を受けて、当該工作物の一部を使用することができる。
 
(河川の使用等に関する国の特例)
第九十五条 国が行う事業について第二十条、第二十三条から第二十七条まで、第三十条第2項、第四十七条第一項、第五十五条第一項、第五十七条第一項、第五十八条の四第一項及び第五十八条の六第一項の規定の適用については、国と河川管理者との協議が成立することをもって、これらの規定による許可又は承認があったものとみなす。


のんきの注:
 河川法は諌早湾が締め切られた年・平成9年6月4日に改正され、同年12月1日に施行されました。このホームページが開設された時点ではまだ施行されていなかったので知りませんでした。今回、改正法を掲載するに当たって、どこが変わったのかを分かるように追加されたり改正されたりしたところは青色にしました。

のんきの評1:
 「法の目的」の第1条に「河川環境の整備と保全」が追加されました。これによって「国土の保全と開発」(公共の安全と福祉)という「法の目的」に、「環境保全」という枠がはめられたことになります。
 時代の流れを強く感じます。「法の目的」に「環境保全」が入った例はここに掲載の他の法律にはありません。運輸省の「港湾法」の「法の目的」も早晩、改正されると思います。また、公有水面埋立法には「法の目的」の規定がないので、「法の目的」を新設してこの「環境保全」を入れた改正を行えば、干潟の開発への大きな歯止めになると思います。干潟を守る新法を作るよりはやいのではないでしょうか?

のんきの評2:
 「第二章 第二節 河川工事等」に大きな変更がありました。今までの「工事実施基本計画」が「河川整備基本方針」へと変わり、その中にやはり「環境の考慮」が加えられました。
 その他、都道府県知事が「方針」を定めるときには都道府県河川審議会の意見を聞くことが追加され、決定した「方針」の公表が義務づけられました。今までは、「工事実施基本計画」を定めても建設省も都道府県も公表の義務がなかった。

のんきの評3:
 「第二章 第二節 河川工事等」に「河川整備計画」(第十六条の二)の条文が新設されました。「河川整備基本方針」に基づいて具体的な計画を定めるもので、「公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じる」ことが義務づけられた。ここは今回の改正の最大の注目点と思われます。

 吉野川可動堰建設問題で、1999/4/27関谷勝嗣建設相が「住民投票で反対が半数を超えたら、計画を直ちに中止する。そのような状況下で大型公共事業は実施できないし、進めるべきではない」と発言したのはこの条文に沿って、住民投票結果を「関係住民の意見」ととらえたことによると考えられるし、その後、5/18には「実際に(水害などの)被害に遭うのは徳島市と6町。徳島市内でも3分の1の地域だ。それが徳島市の住民投票になじむのか。1市6町の住民の生命と財産を守るという建設省の責任放棄だという指摘もある。軌道修正する」と前言を撤回したのも「関係住民の意見」の解釈の変更ととることができます。
 「建設省徳島工事事務所は、事業への住民参加を呼びかけて対話集会を進めている。」(毎日新聞99/5/25 記者の目)のも条文にある「公聴会等」の「等」あたるひとつの方法と思われます。さらに、建設省徳島工事事務 所・大平一典所長は5/28の記者会見で、「住民と対話を進めていく条件づくりが整うまでは、アセスに着手しない」と語り、可動堰計画の環境影響評価(アセスメント)法の手続きを先延ばしにすることを表明しています。
 時代は変わりました。関係住民の意見を「聞く」でもなく「参考にする」でもなく、「反映させなければならない」と明記されていることは、地元住民が反対したら実施は不可能であるということを意味する。建設相の最初の発言を「河川政策の大転換か?」と報じたところが多かったのですが、河川行政の大転換はすでに2年前の河川法改正で行われていると見ることができます。  (99/5/30 記)

諌早湾干拓事業公式資料ページ
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~559-mori/isahaya/