RDB種情報検索にて「ムツゴロウ」を検索した結果を以下に示します。


硬骨魚類<スズキ目 ハゼ科> 危急種

和名:ムツゴロウ
学名:Boleophthalmus pectinirostris (Linnaeus, 1758)


摘要

わが国では有明海と八代海周辺とそこに流入する河川の感潮域の泥干潟のみに生息する。有明海周辺、とくに湾奥部に面する佐賀県では古くから漁業の対象となってきた。近年、資源が激減し、佐賀県の漁獲量は最盛時の50分の1にまで減少している。佐賀県の最近の漁獲の多くは熊本県などで獲れたものであり、主産地の有明海奥部の資源状態は漁獲量の減少よりはるかに切迫していると見られる。

形態の記載

眼がトビハゼのように高く突出し、第1背びれの鰭条が長く、第2背びれとしりびれの鰭条がいずれもT、23〜26と多い。両顎に細かい歯が1列に密に並ぶ。地色は暗緑褐色で、体とひれに多くのコバルト色の斑点がある。

生息地の条件

有明海と八代海の砂分が一定以下の泥干潟に生息する。泥面の微小藻類生産量と魚体の栄養状態に深い関係があり、餌量生産条件も重要と考えられる。

近似種との区別

トビハゼと同所的に生息し、遠目には区別しにくい。干潟では、トビハゼの方が体が相対的に短いことと、這うときに体を高くもち上げることで、ムツゴロウと区別できる。近接観察すれば、体形・体色・鰭条数などで区別は容易。

分布の概要

わが国では有明海と八代海周辺とそこに流入する河川の感潮域の泥干潟のみに生息する。有明海では、福岡県と佐賀県地先と諌早湾奥部が元来、生息域の中心であったが、近年は激減している。1989年現在、むしろ熊本県地先に分布密度の高い地域がある。八代海では松橋付近だけに分布する。

生態的特性

ライフサイクル
卵(ふ化)仔魚稚魚
6〜9日
33日
6日
高潮時と夜間は深い生息孔内に潜み、日中の低潮時に干潟に出て干潟表面の珪藻を主とする微小藻類を食べる。5〜8月に生息孔の産卵室に産卵する。卵は1mm前後で、卵膜に付着糸をもつ楕円球付着卵。仔魚は河川感潮域と河口付近の海域で浮遊生活を送り、生後約40日で水陸両生生活を始める。成魚の行動圏は通常生息孔の周辺に限られるが、ときに大きく移動する。活 期はおもに4〜11月で冬季は暖かい日だけ索餌する。


現在の生息状況

主産地の有明海奥部と諌早湾で資源減少がひどい。とくに、筑後川河口付近・佐賀県六角川河口から浜川河口・諌早湾奥部で減少がいちじるしい。熊本県では現在も比較的多く生息しているが、最盛期に比べれば、いちじるしく少ない。
ハゼ科国内での分布域分布域中の分布型相対的密度生息数の動向生息環境の状況
ドンコ
広い
遍在型
高い
減少
悪化・安定
タナゴモドキ
狭い
局所型
普通
減少
普通・縮小
タメトモハゼ
狭い
局所型
普通
減少
普通・縮小
トビハゼ
狭い
局所型
普通
減少
悪化・縮小
ミナミトビハゼ
狭い
局所型
普通
減少
悪化・安定
<ムツゴロウ>
狭い
局所型
普通
減少
悪化・縮小


学術的な意義と価値

トビハゼとともに特異な水陸両生生活を送る。わが国では本属魚種は1種のみであり、しかも有明海と八代海がわが国における本種の限られた生息地である。

生存に対する脅威

資源減少の原因は不明。餌料藻類の繁茂状態が低下していることがいわれている。漁法は効率的で、漁獲の圧はかなり高い。海面埋め立てはもっとも重大な脅威干潟の構造物構築や河川感潮域の改修も海水流動と浮泥堆積を変化させて脅威となりうる。

近縁な種および群との分布状況の比較



参考文献

道津喜衛,1974. 有明海の魚族たち、ムツゴロウとトビハゼ. 九州・沖縄の生きものたち1, pp.144-182.西日本新聞社, 福岡.
Linnaeus,C.,1758. Systema Naturae. Regnum animale. (10th ed.) Holmiae.
小野原隆幸,1980. ムツゴロウの生態−T 漁業生産、分布および成長について. 佐賀県有明水産試験場報告, (7):123-150.
田北 徹・鷲尾真佐人,1990. 有明海産ムツゴロウの成育状態. 対馬暖流域の生物地理 平成元年度特定研究報告書, pp.55-66.



以下は、検索ページでのRDBの説明です。


RDB(レッドデータブック)とは レッドリストの見直しについて

環境庁では、従来から一部の鳥獣について給餌等の保護対策を実施してきたが、 鳥獣以外も含めた幅広い野生生物保護への取り組みが開始されたのは、 ワシントン条約等をめぐる野生生物保護への国勢世論が高まる中で、 昭和61年7月に野生生物課が設置されてからである。

種の絶滅を防止するためには、まず絶滅のおそれのある種とはなにかを明らかにする必要がある。 すでに国際的には、IUCN(国際自然保護連合)によって、 世界の絶滅のおそれのある種の現状を明らかにした資料であるレッドデータブック(RDB)が刊行されている。 しかしわが国では、保護対策の基礎となるべきこのような最も基礎的な資料は作成されていなかった。

そこで、発足した野生生物課が種の保護に取り組んでいくための基礎を固めるため、 まず日本版レッドデータブックの作成を目指すとし、このための調査として昭和61年度から 「緊急に保護を要する動植物の種の選定調査」が開始された。


環境庁では、平成3年度にとりまとめた動物のレッドデータブックについて、哺乳類、鳥類といった 分類群ごとに、専門家による検討会を設置し、平成7年度から順次見直し作業を進めており、 11年度までに各分類群の見直しを完了することとしている。これまでに、両生類、爬虫類、 哺乳類、鳥類について見直し作業が終了し、平成9年8月に 両生類、爬虫類の新しいレッドリストが、 また平成10年6月に哺乳類、鳥類の新しいレッドリストがそれぞれ公表されている。

また、植物については、環境庁によるレッドデータブックは未だ刊行されていないが、その基礎となる レッドリストが、やはり平成9年8月に公表されている。


「RDB種情報検索」は、すでに刊行されている『日本の絶滅のおそれのある野生生物−レッドデータブック』 (脊椎動物編・無脊椎動物編、1991)に基づいています。したがって、上記の見直し作業が完了している分類群 については、掲載種、ランクが異なりますのでご注意ください。

なお、見直し後のレッドリストに基づくレッドデータブックが刊行され次第、「RDB種情報検索」も更新 する予定です。


のんきの注:
脱字がすこしあるので一部補いました。また太字や赤字は私が付けました。
「RDB種情報検索」で「ムツゴロウ」で検索した結果です。

のんきの評:
近年、資源が激減し、佐賀県の漁獲量は最盛時の50分の1にまで減少」「近年は激減」と環境庁は言っている。ところが、首相・政府・農水省はまったく反対のことを言う。こういうのを閣内不一致と言うのだろうか?

 利権の絡む政治家と官僚の発言がいかに信用ができないかをを示している。どちらが正しいかは、ムツゴロウ漁獲量を見て、国民が判断する以外にない。(98/7/24 記)

諌早湾干拓事業公式資料ページ
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~559-mori/isahaya/