2.諫早湾干拓事業の防災効果 


 床上浸水の被害のようす

 長崎県は災害の常襲県であり、高潮、洪水の被害を経験してきました。 最近では昭和60年の高潮被害もありますが、特に昭和32年の諫早大水害では816名の 人命を失うなど非常に悲しい災害を経験していることは記憶されている方も多いと思います。

 もちろん既存の海岸堤防の嵩上げにより高潮災害を防ぐ考え方もありますが、 高い堤防を長い距離にわたって築かなければならず、そのために要する費用は多額(2000億円弱、潮受堤防は1430億円)であるにもかかわらず、 高潮災害しか防ぐことができません。それに対し現在進めている諫早湾干拓事業では高潮災害を防ぐとともに 背後地の排水不良という悩みを解消し、さらに洪水対策にも貢献しそして地域で渇望した広大な農地を造成するという メリットもまた持っているのです。


図解資料
 昭和58年、諫早湾干拓事業発足に先立って設けられた学識経験者による検討会(諫早湾干拓防災検討委員会)の 検討結果(中間報告書という)について最近改めて報道され、その中で湛水被害は発生する(90戸程度の床上浸水)と 書かれているので防災効果に疑問があるとされています。しかし、中間報告書には、事業がなければ もっと大きな被害(3010戸程度の床上浸水)が予想されると書かれてあるのです。その大きな被害を防ぐために事業に着手したのです。 もちろん予想されている湛水被害はそういうことのないように県として更に努力して行くつもりですが、 まずは干拓事業の早期完成を目指したいと考えています。付言すれば、 この中間報告書についてつい最近まで公表されなかったとの報道もなされていますが、そのようなことはなく、 委員会の中間報告が発表された当時、相当の関心を集め議論されており、 県議会、市町等にも報告され中間報告の内容について報道した新聞も残っています。


 ポンプ場までも浸水
 既存の海岸堤防の嵩上げについても、「各々の対策を個別に行うことは諫早湾地域の緊急且つ効果的な防災対策とはなり得ず、 複式干拓方式によることが総合的な防災対策を講じる上で最も有効な手法となる」と中間報告書に記載されています。 さらにガタ土が大量に堆積し調整池の容量が足りないのではないかとの声もありますが、 本明川などの河口部はしゅんせつされることになっており、計画の容量は十分に確保されます。

 潮受堤防の水門を開け放し、干潟を守れという議論があります。しかし、水門の開放は防災効果を全て失うことになります。 諫早湾においては潮汐が大きいため、干満に応じ毎日計4回大きな流速が発生し、時には鳴門のうず潮よりも速い毎秒8メートルにも上る流速が生じます。 このため、水門を開放した場合、満ち潮の時は潮といっしょに入るガタ土がこれまで以上に堆積し、背後地の排水不良を起こします。 一方、引き潮の時は毎秒8メートルの潮の流れと巻き上げるガタ土で海域が安定せず、漁場へ与える影響は図り知れず、潮受堤防外での漁業にも多大な悪影響を及ぼすことになるのです。この意味で水門開放はとうてい受け入れられないと考えています。


1.干拓は諫早湾の宿命 2.諫早湾干拓事業の
 防災効果
3.諫早湾干拓事業の
 農地造成について
4.諫早湾干拓事業と
 地域のみなさん
5.最後に