3.諫早湾干拓事業の
 農地造成について 

 将来の国規模、地球規模での食料需給の不安という議論があります。世界の穀物需給で見ると、 開発途上国の人口増加圧力、生活水準の上昇に伴う追加的食料需要、地球環境問題等により 中長期的には不安定な局面が現れることも懸念されています。すなわち地球規模では、 21世紀の世界人口は例えば2050年には現在のほぼ倍の100億人に達し、 これから20年後には食料の必要量も約5割増えると言われています。また、表土流出、 塩害の発生等により世界の総面積の約15%で土壌劣化が発生しています。 例えば砂漠化の進行により年間600万haが新たに砂漠化しているとの数字もあります。 平成8年10月に開かれた世界食料サミットでは持続可能な国内生産の重要性、 農業の多面的機能の重視、食料輸出国の供給責任などのほか8億4千万人という飢餓人口を 半分に減らすという合意もなされています。


グラフ資料
 日本の食料自給率は供給熱量自給率で42%、穀物自給率は30%と長期的に低下しており(平成7年度)、 可能な限り国内生産の維持・拡大に努め不測の事態にも対応し得る国内での食料供給力を 確保することが必要といわれています。ちなみに、我が国の輸入食料の生産に必要な 海外の作付面積では約1,200万haと言われており、国内農地約500万haの2.4倍となっています。 飢餓人口が多数存在する中で我が国が経済力にまかせて食料を大量に輸入し続けることについて 配慮する必要もあろうかと思います。

 長崎県にとってもこの事業で確保される約1,500haの農地は21世紀の長崎県の発展を展望する上で、 重要な資源となると考えています。土地に恵まれない長崎は観光で振興を図っていけばよいとの意見もありますが、 緑豊かな県土がなければ観光立県長崎はあり得ず、美しい景観の田園はそこに人が住んでいなければ保ち得ず、 農業農村の多面的機能を維持していくためには農業を育てていかなければならないのです。


生産性の高い畑(宮崎県)
 大都市圏である関東などでは近郊農業を展開できますが、長崎県は日本の西端に位置し、 東京、大阪の大市場から遠い位置にあるため、本県の農業は今後、市場開放など国際化のうねりの中で、 周辺諸国との競争にさらされることとなり、有利とは言えません。既に全耕地面積に対する耕作放棄地の率、 耕作放棄地率は残念ながら全国で高い方となっています。これらの土地の多くは地形条件から、 区画の大きさや道路整備など整備が困難であったり、小さなほ場が分散しているなどが原因となっており、 海外との競争に耐えられなくなっています。長崎県農業の生き残りのために、 周辺諸国との競争に打ち勝つ条件整備を急ぐ必要があります。

 新たに創設される諫早湾干拓の広大で平坦な大地は、用排水施設、農道など近代的な施設が整った しかも権利関係が錯綜していない制約の少ない自由な農地であり、意欲ある農家が自由にその工夫、 経営手腕を発揮できる大舞台であるのです。彼らの活動はまた、周辺農家そして長崎県全体にも波及していくことが期待され、 21世紀長崎県農業の起爆剤としての役割が期待されるのです。


1.干拓は諫早湾の宿命 2.諫早湾干拓事業の
 防災効果
3.諫早湾干拓事業の
 農地造成について
4.諫早湾干拓事業と
 地域のみなさん
5.最後に