諌早湾干拓事業については、皆様方から様々なご意見が寄せられているところであり
ますが、ここで皆様方の代表的な疑問に対してお答えします。
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│なぜ排水門は開放できないのか │
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地形的に平坦な農地に乏しい長崎県において、かんがい用水が確保された大規模で生
産性の高い農地を新たに創出し、21世紀に向けた豊かで夢のある農業を実現すること
を目的としています。
また、諌早湾周辺地域は昔からの干拓により形成された低平な地形(以下「周辺低平
地」という。)であり、いわゆるゼロメーター地帯であります。そのため、過去、幾度
となく、高潮・洪水、排水不良の災害に見舞われてきております。本事業は、このよう
な長年にわたり地域住民の生命・財産を脅かしてきた災害から地域を守り、安心して生
活できるよう、これらの災害に対する防災機能を強化することを目的としております。
以上の目的を達成するため、本事業により標高7mの潮受堤防を設置し、その内部に
1,710haの調整池と1,840haの干拓地を造成するものです。
潮受堤防の機能について、具体的には、
@標高7mの潮受堤防により、伊勢湾台風クラスの規模の高潮までの
被害を防止します。
A潮受堤防の排水門の操作により、調整池の水位を(-)1mに管理する
ことで、上流からの洪水を、外海の潮汐の影響を受けることなく調
整池に一時貯留し、干潮時に外海に安全に排水することにより周辺
低平地の洪水被害を軽減します。
B潮受堤防の排水門の操作により、調整池の水位を(-)1mに管理する
ことで、周辺低平地の排水を容易にします。
Cまた、外海の潮の出入りを遮断することで、これまで地元住民が大変
な労力をかけて浚渫を行ってきたミオ筋へのガタ土の堆積を防止する
ことができます。
D調整池を淡水化することにより、周辺既耕地の塩害の防止、干陸予定
地の除塩やかんがい用水の確保を図ります。
排水門を開放しますと、
@調整池の水位は潮汐の影響を受け、適切な水位管理が出来なくなり周
辺低平地からの洪水対策や排水対策に支障を与えます。また、ミオ筋
に再びガタ土が堆積することとなります。特にこれから本格的な雨期
に向かう中で、排水門を開放すると、せっかく発揮している防災効果
が失われ、事業効果の早期発現を損なうものであり、本事業を待ち望
んできた地元住民から強く反対されています。
A海水の出入り時に生じる大きな流速のため、濁りが発生するなど、水
質の汚濁や、漁業への悪影響の問題が生じる可能性があり、漁業者の
理解が得られません。
B海水が流入することにより、周辺既耕地への塩害防止効果がなくなる
とともに、干陸予定地の除塩やかんがい用水の確保に支障を来すこと
になります。
以上のことなどから、排水門を開放することはできるものではありません。
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│農水省の中間報告では、3,900haの締切りで防災効果上│
│ぎりぎりと言っているが、実際は3,550haであることか│
│ら防災効果がないのではないか │
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農林省が昭和58年に出した諌早湾防災対策検討委員会中間報告書は、漁業者の意向
を踏まえて、漁場の確保と防災機能の確保を図る観点から、締切り規模を比較検討した
ものであります。この報告書における3,900ha案は、「安全性に対する余裕は少
ないものの(技術的には)許容し得る案」となっています。
その後、この中間報告の結果をもとに、漁場の確保、洪水を安全に貯留し得る調整池
容量、妥当な水準の農地造成面積について検討を行い、地元住民、農業者、漁業者、関
係市町、県等の総意として締切り面積を3,550haとする現計画を昭和61年12
月に決定したものです。
現計画の調整池容量は、農地造成面積の削減等の見直しを行い、中間報告における
3,900ha案の調整池容量と同程度の容量を確保しております。
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│農水省は中間報告を隠していたのではないか │
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中間報告書の要約については、農水省が記者発表(昭和58年11月)するとともに、
長崎県は関係12市町、23漁協に説明を行っており、長崎県議会において配布、説明
され、質疑が行われております。
これついては、記者発表を行い資料(要約)を配布するとともに、当時の新聞にも掲
載されております。
さらに、中間報告書そのものについて、九州農政局長は関係4県(長崎、佐賀、福岡、
熊本)及び関係3漁連(佐賀、福岡、熊本)へ送付(昭和58年12月)しております。
このように、中間報告書及びその要約は様々な形で公にされております。
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│既設堤防の嵩上げで防災対策になるのではないか │
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本事業によらず、伊勢湾台風クラスの高潮までの災害を防止するためには、約50
kmにわたる既設の堤防を嵩上げする必要がありますが、その費用は約2千億円を要し
ます。
また、既設堤防の嵩上げだけでは、洪水や排水不良、ミオ筋へのガタ土の堆積の対策
にはならず、さらに別の対策を講じる必要があり、現実的ではありません。
本事業は、これらの災害への防災機能を有しており、最も効率的で有効な対策であり
ます。
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│営農の見込みはあるのか │
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現計画での干拓地の営農については、増反による野菜作経営、肉用牛肥育経営及び入
植による酪農経営を予定していますが、
@平成8年度時点で試算したそれぞれの経営収支は長崎県新農政
プランの所得目標を確保できることや、諌早湾周辺地域で本営
農計画に相当する規模での経営が成立していることを検証して
おります。
Aまた、平成7年度に実施した諌早湾周辺地域の青年農業者を対
象としたアンケート調査では、約4割の増反・入植希望者が存
在するとの結果を得ております。
これらに加え、長崎県においても
@営農開始当初に少ない自己資金での営農を可能とする農業振興公社による土地のリ
ース方式や、
A長崎県総合農林試験場による干拓地農業の試験研究への取り組み、
B担い手公社を活用した営農者への研修・指導
Cさらに、生産法人による大規模な畑作や花きなどの経営モデルも検討しており、
入植者が安定的に経営を行うことが出来るような支援策について、現在、鋭意検討を進
めているところです。
これらのことから、干拓地での営農については十分見込みがあると判断しております。
また、本地域は馬鈴薯、野菜、酪農等における県内の中心的な農業地帯となっており、
本地域周辺には県内の40才未満の基幹的農業従事者のうち約6割が存在するなど、意
欲的な若い農業者が多く存在しております。
このような地域の実情を踏まえ、長崎県及び地元市町等は、本地域が21世紀に向けた
豊かで夢のある農業地帯となることを切に望んでいるものであります。
これらの背景のもと、今後は、長崎県と協議しながら、営農計画の具体化を進めてい
くこととしております。
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│調整池の水質が悪化するのではないか │
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調整池の水質については、潮受堤防の締切りに伴い、測定日、測定場所によって変動
があるものの、COD、窒素、りん等の数値が上昇傾向にあります。
COD、窒素、りん等の数値が上昇している原因としては
@波による底泥の巻き上げ
A河川からの流入水の影響
B調整池内で実施している潮受堤防の築堤、ミオ筋の浚渫などの工事の影響
等が考えられます。
しかしながら、
@従前の海域生態系から淡水域生態系へ大きく変化する途中であり
、生態系が安定していないこと
A堤防やミオ筋の工事中であること
などから、その評価については、調整池の水質観測体制を強化し、今後のデータの蓄積
を待つ必要がありますが、
@潮受堤防の締切り後、水質観測の回数を増加させるなど水質監視
体制を強化するととともに、
A去る5月27日に環境庁と農水省の間で環境保全ための「諌早湾
干拓環境保全連絡会議」や九州農政局に学識経験者からなる「諌
早湾干拓調整池等水質委員会」を設置するなど、
環境に対する取り組みを強化し、今後一層環境に配慮していくこととしております。
また、環境影響評価における平成12年度の下水道等の目標処理人口を達成すべく、
現在、国、県、関係市町あげて下水道等の整備に鋭意取り組みを行っているところであ
ります。
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│ おわりに │
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本事業は昭和20年代から検討されてきたものであり、地域住民の長年の悲願であり
ます。現在も、地元住民をはじめ、関係市町、農業者、漁業者、長崎県から事業の推進
を強く要望されております。
このような地域の実情を踏まえ、本事業への十分なご理解をお願いしたいと考えてお
ります。